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話題の「生産性」を読んでみた


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採用基準の著書である伊賀 泰代さんが、生産性に関する書籍を出版されました。
 

 
さっそくというほど、早くはないですが、読んでみましたので、その纏めです。 

低い生産性を認識すること

日本では「生産性」の認識が低くく、日本では量を追う発想が強いというのが本書の根底にある主張と思える。
 
本書では、その一例として「採用」についての意見を述べている。
 
一般的に、採用を行う場合、採用したい数をベースに、想定される内定承諾率を勘案して、必要な応募数を算出する。
 
例えば、10人欲しいなら、承諾率を10%として100人の応募が必要となる。そして、この100人にコミットに猛進してしいくことがよくある話だろう。
 
これを、生産性の観点でいくのであれば、究極的には、10人の採用なのであれば10人の応募で終わらすことである。
仮に、それで終わるのであれば、想定よりも10倍の生産性を実現していることになる。
例えるのであれば、10人必要なことが1人で、100時間が10時間で、できたことになる。
 
現実的に無理なのは分かっているが、ここで必要なのは、アウトプットを増やすには、インプットを増やすしかないという視点で物事を考えてしまっていること、つまり、生産性の概念が欠如していることです。
 
そう言う私も、読むまでは生産性の認識が低い一人といえる。
 
時間をかけていいものを作ろう、作れるまでやろうという志向は強いほうだ。
限られた時間でやるのではなく、出来るまでやるスタンスといっていいだろうか。
 
もちろん、これ自体、全て悪ことではない。
 
ただ、もし私が、
 
・もし1日の生産性を5%改善し続けていたら?
 
・生産性を4倍にする方法を考えるという視点で物事を考えていたら?
 
といった行動をしていたら、私ができることは飛躍的に増えていたはずである。
 
たとえ100%でなく、20%でも実現していれば、1年での改善効果は絶大だろう。
 
・遊びに行く
・旅行に行く
・趣味を増やす
・何か新しいことを学ぶ
・家族との時間を増やす
 
などなど、時間がなくてできなかったことが、できるようになっていたと思える。
 
なぜ、その意識がなかったのか、悔やんでも悔やみきれない…

低い生産性では日本はまわらなくなる

現在、将来の日本はかつての高度成長期のように、黙っていても成長するフェーズにいるわけではない。
 
さらに、人口構造の変化、高齢者の増加と労働人口の減少が待ち構えており、今まで以上に、仕事以外のこと、育児、介護などやらなければいけないこと、
 
お互いに支えあっていかないといけない状況になって行く。
 
今よりも生産性を高め、短時間で高い成果が求められてくる、いや、実現しないと疲弊し、破綻しかねないことになるだろう。
 
それは目の前まで来ていると私は考えている。

生産性の定義を理解すること

では、生産性を上げるためには、まずは、その定義を理解する必要がある。
 
生産性の定義は以下のとおり。
 
生産性 = 得られた成果 / 投下資源
 
成果とはそれぞれのため、1つと言い切れないが、何か作業を行った際のアウトプットと定義できるだろう。投下資源とは、人数と労働時間、またはコストを意味する。
 
この定義から、生産性を上げるためには、得られる成果を上げて行く、もしくは、投下資源を下げて行く。最善の方法は、その両方が実現できることである。
 
よく人手が足りないと人を増やすことがあるが、これは投下資源を増やして入ることになるため、仮に同じ成果しか得られないのであれば、生産性は低下して入ることになる。
 
この状況は、よくあるケースだろう。一見楽になって満足感を得られるが、生産性は向上してはいない。
 
逆に、少ない人数で同じ成果を得られるのであれば、生産性が上がったことになる。投下資源をが減っているので、どこかで生産性をあげている証拠である。
 
また、得られる成果を上げる試みもある。例えば、デザイン、ブランディングを変える、機能を絞ってコンセプトを変えるなどで、ユーザが感じうる価値を上げることである。投下資源が同じで、販売価格をあげ、同じ数量を販売できれば、それは生産性向上である。
 
まずは、この仕組みを理解することが大切だろう。私含め、日本ではその意識は弱い。 

どのように変えていけばいいのだろうか?

そうは言っても、どうやって実現すればいいのか?と思う人もいるだろう。
 
本書では、
 
・Time for innovation
・Motivation for innovation
・量から質への評価を変える
 
を提示している。
 
1つずつ説明していきたい。

■ Time for innovation

まずは考える余裕を持つために必要な時間の確保になる。

そのため、まずは生産性を上げて、今やって入ることを短時間で終わらせる仕組みが必要である。

事務作業などのオペレーショナルな作業について、投下資本を下げ、成果を高めることを実現させて行く。

 

■ Motivation for innovation 

単に作業のオペレーション改善だけでは十分な生産性の拡大とは言えない。

 

ある程度は改善できるものでもある反面、その効果は積み上げ式になるため、画期的な生産性向上とはなりにくい。

 

もう一段、上を目指すためには、目の前にある不都合、不便を一気に解決したいという問題意識、動機が必要になる。
 
イメージするのであれば、「やれることはやり尽くしたけど、もっと生産性を上げる方法がないか?」と考える意識が必要になるということである。
 
やり尽くした後であるため、何か良いアイデアがある?というレベルでは到底たどり着くものではなく、今の5倍の生産性(営業利益5倍、投下労働人数を5分の1)を実現するためには?と言ってものだろう。
 
本書では、日本は技術的なイノベーションは活発だが、ビジネスイノベーションが低いと表現している。また、この差は生産性の意識の差でもあると指摘している。
 
製造現場では日々生産性を意識して改善をしているが、ホワイトカラー層にはその意識が欠如しており、ビジネスサイトでのイノベーションが欧米各国と歴然とした差があるということである。 

 ■ 量から質への評価を変える

生産性を定着させるためにはその評価方法を変える必要があることにも言及して入る。
 
当たり前のことだが、生産性の拡大を求める、評価されることがなければ、生産性を上げる動機は上がらない。
 
そのため、個人はもちろん、組織として生産性を意識する必要があり、そのためには、量から質への評価に転換が必要であると指摘して入る。
 
最近よくあることだが、残業時間の削減、会議の時間、回数を削減しようという話はよく聞く。例えば、2時間→1時間になったといった話だろうか。
 
ただ、生産性という視点で考えるのであれば、同じ成果を実現した上での時間の短縮にならないと意味はない。
 
要は、量を求めるのではなく、質を求めていくのである。
 
残業時間、会議の時間、回数を減らすことが本質なのではなく、生産性を上げて短時間でできるようになり、その結果、時間が削減できたことが必要なのである。これは実践する側だけでなく、評価する側、つまり上司や組織の意識改革が必要になるだろう。
 
評価指標は生産性向上へ。投入資源の削減とその成果を維持、いや上げていくことを評価していく仕組み、文化が必要である。
 
ここが、本書での主張と感じている。 

もっと具体的な打ち手は何か?

方向性、考え方は前述の通りだが、本書では、具体的な打ちても提案している。
 
この点が、他のノウハウ本と違うところではないだろうか?
 
考え方だけではなく、明日、どこからやっていけばいいのかを提案しており、思わず実践して行きたくなるものである。
 
具体的な説明は本書に譲るとして、説明している内容は、
 
・研修
・資料の作り方
・会議
 
になる。
 
この辺りは、是非、本書を手にとって読んでもらいたい。
 
目から鱗と感じることも多く、非常にためになるものであった。
 
理論上生産性向上には限界がない。
それを伸ばすという意識を持ち、また評価、次のアクションをし続ける。
 
単に労働時間を削減することではなく、その生産性向上させた組織が、今と同じ時間を投下できたら?と思うと、到底実現できないと思っていたことが実現できるのではないか?と感じて入る。
 
今まで以上に、生産性向上がこれからのキーになるだろう。
 
長文になってしまったが、本書は新入社員、またはベンチャー企業へ転職した人など、生産性の意識が必要な方に勧めたい1冊である。
 
是非、一読をしてもらいたい。