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ザ・会社改造 / 久しぶりに読むべき1冊に出会った


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久しぶりに読み応えのある本に出会った。
 

著者は、現在、三枝匡さんのミスミグループ本社の取締役議長を努めている方であり、
 
戦略プロフェッショナル、経営パワーの危機、V字回復の経営の著者でもある。

 

 
前述の書籍と同様に、本書もご自身の活動を詳細にまとめたもので、
今回はミスミの社長として乗り込んでからの苦悩、失敗、そこからの戦略を赤裸々に綴ったもの。
 
よくある経営コンサルタント出身の方が書かれた戦略論ではなく、
実際に行った戦略とその打ちて、ならびに、その根拠となるロジックを詳細にかかれていること、
また、それを小説風に書かれており、ドラマチックな流れで、非常に読みやすい。
 
私は著者の作品が好きであり、ほぼすべての本を読んでいる。そのたびに、心が熱くなるものがあり、
いつも楽しく読ませてもらっている。
 
著者の経歴を簡単に抜粋すると、以下の通り。
 
ボストン・コンサルティングコンサルタント第1号として働き、MBA取得、
30代には住友化学と米国企業の合弁会社ベンチャー企業での再生に取り組み、
40代はベンチャーキャピタルとして、出資とその再生を。ターンアラウンド・スペシャリストとしてお金だけでなく、ハンズオンでその再生を担う。
50代にてミスミ・前社長から請われ、社長就任とミスミを売上5倍(2000億)、営業利益を4.8倍(237億)、社員数を26倍(8,876人)へ。
単に商社であったミスミをグローバルカンパニーに変貌させる。 現在は、一線を離れ、取締役会議長となっている。
 
単純に見ると、ものすごい経歴の持ち主。
 
とはいえ、事業を作りたい、コンサルタントでありたいというのではなく、
経営に関わるプロフェッショナルなること、それが著者のキャリアの根底にある思想だろう。
 
また、著者の根底には「プロの経営者がいない」という思想があると読み取れる。
 
本書、それ以前の本でも繰り返し伝えている。
 
それが原因で高度成長を実現し、「Japan as No.1」と言われてた時代以降、
日本が欧米の事業確信のメガトレンドに負け続けている、後手となっているから今がある、というのが一貫して主張している。
 
では、そのプロの経営者とはなんであろうか?
 
  1. どんな状況の会社に行っても、短期間で「問題の本質」を発見できる人
  2. それを幹部や社員に「シンプル」に説明できる人
  3. それに基づいて幹部や社員の心と行動を「束ね」、組織の前進を図れる人
  4. そしてもちろん、最後に「成果を」出せる人 
 
このように定義をしている。
 
私は、
 
「それに基づいて幹部や社員の心と行動を「束ね」、組織の前進を図れる人」
 
が入っていることに共感を持っている。
 
著者自身は経営のプロとして、ハンズオンで経営に、組織に入って、その再生を目指して、その成果を上げてきた人である。
 
みなさんも経験があると思うが、大層な理論を振りかざしても組織、人は動くものではない。
 
人間は事実で動いているのではなく、感情で動くものであり、単に言われても変わるものではないからと私は考えている。
 
その中でどうすればいいのか?となると、自分自身で考え、動き、熱い心を伝播させていかないといけない。
 
本書では「死の谷」と表現されているが、同しようもない状況、その修羅場でのどう動いていくべきか?
 
それが大事であることが表現されている1文と捉えている。
 
本書でもあるが、危機を察すると、著者は現場に入り、自ら動き、その指針を提示している。当事者意識を持ち、ハンズオンで対応するのである。その動きが周りに伝播し、人の動きを変えているのだろう。
 
その他、各章毎に「三枝匡の経営ノート」をまとめている。
各章ごとの課題、そのロジックが簡潔にまとめっていて、章ごとの意味合いを振り返ることができる。
示唆に富んでおり、読み返すたびに違う意味合いが読み取れるので、私の中では、時間をおいて、また読んでみたいと思う1冊になっている。
 
しかし、外から見ているとミスミは成功した会社であり、
うまく回っている、他の会社よりも戦略にも優れ、淡々とこなしていたと感じていた。
最近ではTVCMもしている。誰向けなんだろうか?と感じることもないが、これも戦略をもっての打ちてなんであろう。
 
その会社が、こんなに苦労の連続だったとは考えてもいなかった。
 
その苦難をどう乗り越えたのか?その戦略は?その根拠となるロジックは?
 
については、本書を取ってみて確認してみてもらいたい。